国民の94%がイスラム教徒のセネガル在住6年目、セネ山( @africa_shokai )です。
それにしても、サウジアラビアの観光ビザ解禁、驚きましたねー。
サウジ政府の気が変わって「やっぱりやめた」となる可能性もおおいにあると思うので(笑)、早く行ってみたいです。
さて、日本では、イスラム教に関する本が沢山出ています。webでもイスラム教(徒)に関する情報を目にする機会が増えてきましたが、中には実態とかけ離れたような情報もあります。
そこで今回は、イスラム教徒94%のセネガル共和国在住6年目で、実際の彼らの生活を見ている僕が、イスラム教とコーランを理解するのに役立つと感じた書籍5冊を紹介します。
イスラム教は、日本人からするとまだまだ馴染みが薄いです。人はよく知らないもの、分からないものは不安に感じますし、日本ではISISの事などの報道の影響で
「イスラム教(徒)って怖いのかな…」
と漠然としたイメージをお持ちの方もいまだに多いようです。
無知から来る不信感や不安。であれば、もう少し知ってみませんか?
本は「おすすめの読む順番」で並べています。
(また、僕自身は普段は「イスラーム」「ムスリム・ムスリマ」という言葉を用いる事が多いですが、以下では表記はすべて「イスラム教」「イスラム教徒」で統一します)
なお、本には文体などの好みもありますし、僕のオススメが「絶対正解!」ってものでも無いと思います。
もしあなたのおすすめの本があれば、ぜひTwitterやはてブ、NewsPicksなどで教えてくださったらうれしいです。
(コメントなど、全部見てます…!!)
目次
- 1 イスラム教とコーランの本1『まんがで読破 コーラン』
- 2 イスラム教とコーランの本2『コーランを知っていますか』新潮文庫 阿刀田高著
- 3 イスラム教とコーランの本3『コーラン(上)(中)(下)』岩波文庫 井筒俊彦訳
- 4 イスラム教とコーランの本4『イスラームとは何か』講談社現代新書 小杉秦著
- 5 イスラム教とコーランの本5『コーランには本当は何が書かれていたか?』文藝春秋 カーラテン・パワー著
- 6 イスラム教やコーランの理解を深めるには、イスラム教以外の宗教も学ぶべし。おすすめの本
- 7 【本以外から考えるイスラム教とコーラン】米国Amazon倉庫で働くイスラム教徒の抗議について
- 8 イスラム教やコーランの本を読んで、もっと知りたくなったら…
イスラム教とコーランの本1『まんがで読破 コーラン』
『まんがで読破』シリーズ、ご存知ですか?
世界の古典・名作をまんがで分かりやすく簡潔にまとめている本です。聖書から小説まで、幅広くシリーズ化されています。
僕は難解な本(言葉遣いが独特の古典など)を読んで挫折した経験が何度かあります。原書を読む前にこのシリーズに目を通すと、難解な本でも頭に入って来やすくなるため、とてもオススメです。
コーランも、まずこの本に目を通してから挑戦すると、少し分かりやすくなると思います。
イスラム教とコーランの本2『コーランを知っていますか』新潮文庫 阿刀田高著
まんがで読破シリーズの次に「かみ砕かれてとっつきやすい」のが本書。
作家の阿刀田高氏は本書だけでなく難解な本を軽妙に説明する本を多数記しています。
(『旧約聖書を知っていますか』『新約聖書を知っていますか』『楽しい古事記』など)
「コーランについての雑談」とまでは言いませんが、コーランの内容を、小説家の著者なりに「面白く」紹介しようとしています。
正直本書では、イスラム教およびコーランの内容をしっかり把握する事は難しいですが、とっかかりには良い本だと思います。
イスラム教とコーランの本3『コーラン(上)(中)(下)』岩波文庫 井筒俊彦訳
ここで、ついにコーランの日本語訳です。
訳者の井筒俊彦氏は、イスラム教関連の学者。30か国語以上が話せる「語学の天才」としても有名ですね。
実はあまり知られていませんが、2018年7月には、日本でも彼の映画が公開されていました(『シャルギー(東洋人)』)。
コーランそのもの以外にも、以下のようにコーランやアラビア文化、そして哲学書などを多数記されている日本有数の知識人です。
年末年始、大人がおさえるべき教養の一つとして、彼の本に目を通してみてはいかがでしょうか。
イスラム教とコーランの本4『イスラームとは何か』講談社現代新書 小杉秦著
タイトルの通り、イスラームとは何か、歴史とともに分かりやすく説明してくれる本です。
(実は「イスラーム」という言葉は「神に絶対的な帰依・服従を誓う”教え”」という意味があるので、本来は「教」とわざわざ付けなくて良いのです。ですが、日本では宗教にはすべて「教」とつくため、便宜的に「イスラム教」と呼ばれています)
本書は「堅苦しくなく、しかし深く、じっくりと」をテーマにしているだけあって、平易な言葉で語られています。
とは言え、いきなり読むには少しハードルが高いので、4冊目としました。
イスラム教誕生当時のアラビア半島の「文明外だった」状況から、現代社会に適応・通用するように変化を遂げるコーラン(クルアーン)の解釈まで、網羅的に記されています。
特に、最後の第九章「現代社会とイスラーム」が見どころです。
あと、個人的には「アザーン(お祈りの呼びかけ)の始まり」の解説が興味深かったです。
イスラム教とコーランの本5『コーランには本当は何が書かれていたか?』文藝春秋 カーラテン・パワー著
著者「実は私はコーランを読んだことがないの」
学者「ほとんどのイスラム教徒も読んでいません」
学者「もし読んだことがあったとしても、理解はしていない」
「えっ!?」
と感じた方は、間違いなく楽しめる一冊。きっと目からウロコな情報が満載です。
イギリス人女性がイスラーム学者とコーランを学んでいく過程を記したエッセイです。
本書だけではダメですし、情景描写が邪魔と感じる点も多々あるのですが、その点を差し引いても、ある意味5冊のうちでも一番オススメです。
なぜなら、上記の著者と学者のやり取りと同様の事を、セネガルの人と話していて、ひしひしと感じているからです。
僕は元々、「イスラム教徒の多い国の文化を理解するにはコーランを読まなければ」と思っていました。
しかし、コーランには解釈の余地があまりに多く、実はイスラム教徒でも「○○(本書参照)」を参考にしている事が多いのです。
繰り返しますが、上述の通り、この本だけでは全然です。ですが、ある意味、本書がいちばん「イスラム教に興味を持たせてくれる」でしょう。
イスラム教やコーランの理解を深めるには、イスラム教以外の宗教も学ぶべし。おすすめの本
実は、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教には、多くの共通点があります。
(3つの宗教はどれも、預言者アブラハムの宗教。エルサレムは3つの宗教にとって共通の聖地です)
ですので、イスラム教について理解したい方は、キリスト教や仏教など、他の宗教についても学んでみると良いでしょう。
他の宗教と比較する事で、イスラム教の特徴が分かります。
おすすめ本は以下の通り。
上から順番に読んでみると、理解しやすいと思います。
キリスト教の本1『まんがで読破 旧約聖書』
イスラム教のおすすめ本でも紹介した『まんがで読破』シリーズ。
旧約聖書の内容をざっと知るとっかかりとして良い本です。
キリスト教の本2『まんがで読破 新約聖書』
同じくまんがで読破シリーズです。
キリスト教の本3『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』
東京の世田谷にある上馬(かみうま)キリスト教会。
面白いツイートから、Twitterのフォロワー数10万人以上を誇ります。
そんな上馬キリスト教会の記したゆるーい本という事で、とっつきやすさは満点です。
とはいえ、注意事項も。
上馬キリスト教会は、プロテスタント系の「福音派」。
福音派は、聖書の言葉を神の言葉として、厳格に信仰するのが特徴だったりします。
なので、そうした考え方の人が記した内容であり、これがキリスト教徒すべての考え方ではない事を留意する必要あり。
それさえ念頭に置いておけば、面白く読み進められると思います。
キリスト教の本4『この一冊で「聖書」がわかる!: 旧約、新約のあらすじから、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教まで (知的生きかた文庫)』
この本がおすすめなのは、キリスト教と他宗教の関連性などにも広く言及しているから。
上の3冊を読んでいる人なら、それほど難しいとは感じないと思います。
キリスト教の本5『キリスト教は役に立つか (新潮選書) 』
この本が面白いのは、以下のような著者の経歴によるもの。
信仰とは無縁だった灘高・東大卒の企業人は、いかにしてカトリック司祭に転身したか。漠然と抱え続けてきた「孤独感」を解消できたのはなぜか。旧約聖書から新約聖書、遠藤周作からドストエフスキー、寅さんからエヴァンゲリオンまで、幅広くエピソードを引きながら、ノン・クリスチャンの日本人にも役立つ「救いの構造」をわかりやすく解説する。
(Amazon 内容紹介より抜粋)
「宗教は役に立つのか?」という誰もが一度は疑問に思うような問いを、バリバリのエリートから司祭になった著者が解説しています。
なので、クリスチャンではない日本人でも、理解しやすい内容です。
仏教の本1『まんがで読破 般若心経』
仏教についての本は、正直あまり読めていないため(汗)、これだけ紹介。
般若心経は大乗仏教の経典なので、初期仏教や部派仏教について知りたい方は、他の本を読む必要があります。
その他の本1『哲学と宗教全史』
ライフネット生命創業者で、現在立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さんの力作です。
全468ページとものすごいボリュームの本書。
って思う位の見た目に違わず、中身も骨太。
古代ギリシャからルネサンスと宗教改革、近代から現代まで、3000年の哲学者と宗教家を、人物相関図なども用いて分かりやすいように説明してくれています。
今後も随時加筆します【ブクマ・Pocket推奨】
ここまでご覧いただきありがとうございます。
その他の仏教の本、そしてユダヤ教やヒンズー教の本は、随時加筆します。
ぜひはてぶやPocketなどで保存して、時々見返してみてください。
今後もイスラム教をはじめ、宗教にまつわる記事を記していきます。
【本以外から考えるイスラム教とコーラン】米国Amazon倉庫で働くイスラム教徒の抗議について
2018年12月、米国Amazon倉庫で働くイスラム教徒が、礼拝時間の取れない労働環境について抗議をし、大きな話題となりました。
本件について、考察を記しています。
イスラム教やコーランの本を読んで、もっと知りたくなったら…
本で学んだ事を、セネガルに来て、自分の肌で実感しませんか?
僕が日本人宿「シェ山田」を運営するアフリカのセネガルは、イスラム教徒94%の国。
セネガルに来ると、イスラム教に関する固定観念が壊れると思います。
百聞は一見に如かず。ぜひ、遊びにいらしてください。
以下は拙著(電子書籍)。
「治安が悪そう…」「怖い…」
イスラム教同様、アフリカも偏見や先入観を持たれやすい場所。
50以上の国と地域があり、当然国ごとに状況はまったく違うのに、一括りにして語られがちです。
もちろん、アフリカには治安の悪い場所もありますが、
・ビザ不要
・7つの世界遺産
・主食お米でうまい
・日本人運営の宿有り
・往復航空券12万円台から
・日本語のガイドブック有り
・フランス人に人気のバカンスの地
・海外数か国目の人も一人で来てる(ツアー不要)
・治安良好(4機関中3機関が「日本と同程度」と評価)
こんな国もあります。
それが「セネガル」です。
セネガルやアフリカについては、以下の記事もご覧いただくと、理解が深まると思います。
・アフリカ旅行は危険?治安悪い?外務省等4つの評価地図を在住6年目の宿主がまとめてみた
・アフリカ旅行記セネガル編「アフリカは危険で旅の玄人しか行けない」って考えが変わる5人の体験談を紹介
また、セネガルがどんな所か、映像で観たい方向けに、ラップでセネガルを紹介する動画も作りました。
よかったらご覧ください。