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【ネタバレ有】吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』あらすじや名言と感想

投稿日:2019年7月1日 更新日:


サバ?鯖!セネガル山田( @africa_shokai )です。



1988年8月、刊行。吉本ばなな(よしもとばなな)2作目となる短編集『うたかた/サンクチュアリ』。

文化庁主催の芸術賞である「芸術選奨新人賞」を受賞。

処女作『キッチン』のヒットにより注目される中刊行されました。

 

僕は吉本ばなな作品は『TUGUMI』から読み始め、『キッチン』でどっぷり魅力にハマり、現時点では本短編集内の『うたかた』が一番好きな作品です。

以下、ネタバレを含むあらすじ、および読んだ感想(書評)などを解説していきます。

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吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』の登場人物

登場人物はそれほど多くない上、名前も特徴的なので、混乱することなく読み進められると思います。

 

『うたかた』登場人物

うたかたでは、主な登場人物は以下の5人です。

 

鳥海人魚(主人公)

この物語の語り手。19歳の大学生。

結婚をしていない父と母の元に生まれる。母と2人でマンション暮らし。

 

人魚の母

人魚の母。元モデル。

人魚の父にずっと恋をしているところがあり、父の突然のネパール行きに同行する。

 

人魚の父

結婚をせず人魚の母と人魚を囲っている。

親の残した資産で好き放題に生きてきた。

家の前に捨てられていた嵐を拾い、育ててきた。

 

高田嵐(主人公の恋人的存在)

人魚の2つ年上の青年。

人魚の父の家の前に捨てられ、そのまま拾われて育てられた。

母親は人魚の母のモデル時代の仲間である真砂子。父は不明だが、人魚の父を、自分の実の父ではないかと疑っている。

 

さゆり

人魚と同じマンションに住む人魚の友人。

 

『サンクチュアリ』登場人物

『サンクチュアリ』では、主な登場人物は以下の4人です。

吉本ばななさんの作品では珍しい、男性の主人公です。

 

時田智明(主人公)

物語の語り手。大学生。

恋人だった友子の自殺を機に、ふさぎ込んでいる。

 

浜野馨(ヒロイン)

未亡人。海辺で号泣している際に智明と出会い、親しくなる。

昔はスポーツカメラマンとして「浜野鉄男」名義で活動をしていた。

 

大友友子

智明の高校時代のマドンナ的存在だった同級生。

年上の男と結婚するが、夫の浮気に苦しむ。

智明と不倫関係になるも、自殺する。

 

大友

友子の夫。

智明の写真が友子の遺品の中にあったのを発見し、友子が智明を好きだったと推測。

智明に興味を持ち、コンタクトを取る。

 

吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』のかんたんなあらすじ(ネタバレ有り)

ここではかんたんにあらすじを記します。

 

『うたかた』

女子大生の鳥海人魚は、母と二人暮らし。

未婚の父に囲われて生きてきた人魚だが、ある日「兄」の嵐と運命的な出会いをする事で世界の景色が変わって見える。

そんな中突然、母から父がネパールへ行くと聞く。なんと母もついて行くという。

嵐に恋をして、母が病んで。家族の在り方が急激に変わっていく。

 

『満月―—キッチン2』

恋人の友子を亡くし傷心の智明。旅行先の夜の浜辺で、夫を亡くして号泣している馨と出会う。

ある日智明が地元を歩いていると、馨から声をかけられる。

「梅ジュースの誘い」をきっかけに、二人の仲は急速に発展していく。

 

吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』の名言

『うたかた/サンクチュアリ』には、人生への示唆に富んだ沢山の名言があります。

ここでは、その一部をかんたんに紹介。

 

「幸せっていうのはな、死ぬまで走り続けることなんだぞ」(うたかた Kindle版位置No.961 / 1927) by 父

これは、以前僕が定義した幸福に似ています。

だからこそ、気持ちが分かる気がします。

 

人生って、常に生きている間は止まらないんですよね。

一見当たり前ですが、「平穏な」人生を当たり前だと思っている人は本当に多い。

一寸先は闇ですし、何が起こってもおかしくない。

人生なんて、そんな不確かなものです。

 

そんな中で、ある意味走り続け ”なくてはならない” のが人生。

止まりたいと思っても、時間は日々過ぎ去ってゆきます。

 

「家族はどこにいてもひとつだけど、人は死ぬまでひとりだ(うたかた 位置No.961 / 1927)」 by 父

これは、海外で一人住んでいる僕からすると、けっこう身に染みて考えさせられる言葉でした。

 

家族はどこにいてもひとつ。本当にその通りだと思います。

僕もセネガルに住んでいると、家族のありがたみを感じます。

 

人は死ぬまでひとり。これもその通りですね。

だからこそ『キッチン』でもあったように、

 

幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ(満月―—キッチン2 位置No.825) by みかげ

という気がします。

 

「楽しいことなんか、まだいくらだってあるんだ(サンクチュアリ 位置No.1878 / 1927) by 智明

最後の最後に智明が馨に話した言葉。

これは、智明は馨へだけでなく、自分に言い聞かせたところが大きかったのではないでしょうか。

僕は北野武監督の映画『キッズ・リターン』のラストシーンを思い出しました。

『キッズ・リターン』の場合は、そう信じている彼らの哀れさ(つまり「人生はそう甘くないのに」という皮肉)を感じさせる空気感なのに対し、こちらは希望を感じさせるラストです。

北野武さんがこの作品を読んだら何を思うのか、気になる所です。

 

吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』の評価

7.5点(10点満点中)

 

吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』の感想

ここでは、僕の個人的な感想を記したいと思います。

 

『うたかた』家族の絆は形じゃない

周りからどう見えてもいい。なんなら実の娘からも。

二人だけが分かる、二人の繋がり。

そんな父と母の間に育った人魚。

 

父を毛嫌いする人魚が、物語の最後の父の言葉で、久しぶりに「お父さん」と言ってしまう。

このシーンは、ほんの一瞬の出来事ですが、かすかに家族の止まった時間が動きだす瞬間でした。

止まっていただけで、無くなっていたわけじゃない。

家族という強固な繋がりを意識させられるシーンでした。

 

『サンクチュアリ』幸せな日常。いけない事だと分かっていても。

どんな形であれ、幸せって儚いものだと思わされます。

8年間も付き合って、仲良く結婚生活を送っていても。

高校の同級生と不倫しても。

幸せの終わりは、いつも突然。

自殺した友子にとっての結婚後の人生も、まさにそうしたものだったのでしょう。

それでも、人は死ぬまで走り続ける。

 

吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』が好きな人におすすめの作家と本

ばななさんの本はもちろんですが、あえて他の作家の本をおすすめしておきます。

ぜひ読んでみてください。

 

武者小路実篤

白樺派の思想代名詞的存在の武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)。

理想主義的な言動で知られる彼の作品は、やはり人間の美しさを感じられる作品となっています。

吉本ばななさんの本と似ているのは、清涼な読後感

きっと好きになると思います。

僕のおすすめは以下の3冊です。

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北野武

本ではなく映画であり、かつテーマも家族ではないのですが、前述の『キッズ・リターン』は、人生への捉え方が吉本ばななさんの作品と大きく異なり、別の意味で楽しめます。

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吉本ばなな『キッチン』以外の作品もおすすめです

ばななさんの作品は、どれも読後感が気持ち良いです。

一度ハマると、ずっと読んでいたくなるでしょう。

Kindle版も文庫もどちらもあるので、ぜひ読んでみてください。

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