サーフィン

サーフィン初心者向けテイクオフのコツ【足・重心・パドリング・呼吸法】

アフリカのセネガルで週5サーフィンをしているセネガル山田( @afsurf1 )です。

まずはこちらのプロのテイクオフ動画2本を比較してみてください。

 

サーフィン初心者がテイクオフのコツを上級者(経験者)に聞いたり調べたりすると、人によって言う事が真逆だったりして混乱します。

 

「テイクオフでは胸を反れ」⇔「いやいや反らずに顎をつけろ」

「全力で漕げ」⇔「いやいやほとんど漕がなくてOK」

「板の斜面に水平に」⇔「いやいや地面に水平に」

「まずはボトムに降りる意識で」⇔「いやいやまずは横向きで」

etc...

といった具合に。

その結果「一体なにが正しいんだ…」とお悩みの初心者の方も多いと思います。

 

いったい、なぜこんな事が起こるのでしょうか?

 

それは「波の性質」、そして「イメージと体のズレ」に関係があります。

上記の2本の動画でも、波の性質がぜんぜん違うため、テイクオフの仕方に大きな違いがあるのが分かると思います。

 

この記事では、いままでほとんど言及されてこなかった人によってテイクオフの説明が違う理由」を徹底解説。

また、そこから導き出される「テイクオフの真実」を紹介します。

そして、他では見た事の無い、僕が独自に発見した「テイクオフ時の呼吸法」についても解説。

加えて、テイクオフ前の「波待ち」「波の合わせ方(追いかけ方 波に合わせる時のパドリング)」から、実際にテイクオフする際の「波に押される(ホバリング)ためのパドリング」「波に押されてから立つまで」なども紹介します。

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目次

【サーフィン初心者向けテイクオフのコツ】上級者の言う事が人によって違う理由

まず、最初の疑問から解説していきましょう。

サーフィン上級者(経験者)のテイクオフのコツの説明が人によって違う問題。

その理由はズバリ「人によって頭の中で想定している波が違うから」です。

 

ホレた波、アツい波、早い波、トロい波etc...

サーファーのみなさんなら当たり前にご存知だと思いますが、波にはさまざまなタイプがあります。

上級者(経験者)がアドバイスをする時、人によって、どんな波を想定して話しているのかが違うのです。

 

もう一つの理由は「想定しているアクションが違うから」です。

これは、波のタイプとリンクしています。

いくらチューブをしたくても、ホレてない波ではできません。

そのため、想定している波が違うと、繰り出すアクションも変わり、アクションが変わると、そのための最適なテイクオフも変わるのです。

 

加えて「タイミング」「ポジショニング」の問題もあります。

一口にテイクオフと言っても、短いようで沢山の段階があります。

そのどの時点の事を言っているのかによって、説明が変わってしまいます。

 

そしてもう一つ、大きな理由があります。

これは「イメージと実際の体の動きのズレ」です。

 

実は僕、小学校時代から10年以上野球をやっていたのですが、野球でこれを実感した事があります。

僕の時代の指導者やプロが話す理想の動きと、実際にやっている動きがまるで違ったのです。

 

具体的には、野球では、

「上から下にバットを振れ」

「最短距離でバットを振れ」

「ヘッドを下げるな」

と教える指導者や、そう話すプロが多くいました(今もいるかもしれません…)。

 

ですが、実際には、打てる人ほど、プロほど、上から下には振っておらず、どちらかというと下から上に振る「アッパースイング」に見える振り方をしているのです(厳密にはアッパーではないのですが、説明上)。

 

なぜこのように、イメージと実際の動きに違いが生まれるのでしょうか?

野球の場合、それは「バットにかかる遠心力と重力」が原因です。

 

バットを振る際は、回転により、ものすごい遠心力と重力が働きます。

結果、上から振るイメージで途中までバットを出しても、結果としてバットの先が下がる事になり、それ位がちょうど良いのです。

ですが、小学校低学年など、体にバットが合っていない、しっかりバットが振れないような人が「上から振る」イメージで振ると、回転の力も弱いので、本当に上から振ってしまったりするのです。

 

「名選手は名指導者とは限らない」とよく言われるのは、こうしたイメージと動きのギャップによるものなのです。

 

サーフィンでも、同様の事が言えます。

すでにサーフィンに慣れ、波に自由自在に乗れる上級者やプロが言う事は、あくまでイメージや意識している動きであり、実際に行っている動きとは違う事があります。

 

という事で、ここからは、

・段階(フェーズ)別のテイクオフのコツ

・波のタイプ別のテイクオフのコツ

・どんな波でも共通のテイクオフのコツ

の3つを解説していきます。

 

【サーフィン初心者向けテイクオフのコツ】段階(フェーズ)別解説【波待ち・ホバリング・立つ】

ここでは、テイクオフに必要な動作を順に説明します。

 

波待ち

どんな波でも必要な「波待ち」動作を解説します。

 

波待ちはピークで?答えは「基本そうだが状況による」

初心者の方向けに解説しますと、いわゆる「波待ち」は、こんな状態の事。

「ボードをまたぎ、両足は水の中」という状態です。

 

サーフィンではこの姿勢で波待ちをします。

待つ場所は、波が一番早く崩れる「ピーク」と呼ばれる場所付近。

 

これが基本ですが、常に正しいかというと、状況によります。

たとえば、いつも割れ方が一定のリーフブレイクで、かつ人が多い場合など、ただ待っているだけでは一生波に乗れそうにない場合などは、ピークよりほんの少しずれた、他の人よりも少しだけ沖で待ち、ピーク方面にゆるーくパドルしている風に待っている方が良い時もあります。

そうする事で、「自分は波を追っている」という意思表示を誰よりも早くする事ができ、結果として波を取れる(譲ってもらえる)可能性が高くなるからです。

 

波待ち中は足を回してバランスを取る

慣れれば、まったく動かずに波待ちをできる場合もありますが、慣れないうちは、足を円を描くように水中で軽く動かしてバランスを取ります。

 

【注意】自分の位置を常に把握せよ。波待ち中も流される

タイトルの通りなのですが、一見止まっているように見えても、海は動いているので、気付くと結構流されている事もあります。

ちょっとしたポジションの違いで、波に乗れるかどうかが決まります。

周囲の目印となるものや、他のサーファーを見て、自分が変な方向に流されていないか、常に気を配りましょう。

 

波に合わせる(波を追いかける)

波をGetできるか否かを決める「波に合わせる(波を追いかける)」動作を解説します。

 

波に合わせるには「波をよく見る事」

サーフィンは、タイミングとポジショニングが命。

波をよく見て、波がどこから崩れるのか、どこから乗るとロングライドできそうか(フェイスがしっかり続いていきそうか)などを見極めましょう。

 

波に合わせるにはピークの正面よりも「少し横」からの方が合わせやすい

ピークの正面にいると、自分のいる方へ、周囲のサーファーがパドルをしてくるため、乗りにくかったりします。

また、ピークで待っていてお化けセット(普通のセットよりも大きいたまに来るセット)が来た時などは、ピークからだいぶ横にズレた位置へ向かわないと間に合わない事が多いです。

その辺りのポジショニングを考えても、「ピークよりも少しブレイク方向側」で待っていると、融通がききます。

 

波に合わせる(追いかける)際は、慌てずに、でも素早いパドルを

少し横で待つと融通がきくと書きましたが、ただしそのポジションから波を取るには、誰よりも早く波を見つけて、素早くパドルする必要があります。

かといって、沖にパドルをし過ぎてしまったり、岸側にパドルをし過ぎてしまったりすると、タイミングが合いません。

 

パドリングで力まないようにするには「呼吸」をこう変えろ

パドリングで力を入れ過ぎて空回りしてしまうような時はありませんか?

そんなあなたにおすすめなのが、パドリング時に呼吸を意識する事。

具体的には「とにかく息を吐く事を意識する」事です。

すると、体の力が抜け、楽に、そして落ち着いてパドルをする事ができます。

 

【写真あり】僕の例

下手くそな僕の写真で恐縮ですが、写真とともに解説していきます。

(一番右の金髪が僕です)

 

先ほどの波待ちの写真がこちら。

すでに、次に来る波を見ているのがお分かりいただけますでしょうか?

 

そして、これは写真だとフラットに見えますが、すでにパドル開始からだいぶ時間がたっています。

 

↑ この波が、次にこうなります ↓

僕が波のピーク側にいるため、波の優先権がある状態です。

 

波に押される(ホバリング)

テイクオフ前には、波に押されて進むのを感じる瞬間があります。

その際のコツを解説します。

 

ホバリングするためには、波のタイプに合わせてタイミングとポジションを調整せよ

奥から一生懸命パドルしないと乗れない波、あまりパドルをしなくても波の力だけで乗れる波など、波によって必要なパドリング動作は異なります。

波別の解説は後述しますが、いちばん大切なのは、波の力を使う事。

いくら一生懸命パドリングをしても、波の力を使わなければ乗れません。

 

波の進行方向に合わせてパドリングする

行きたい方向を意識するあまり、波の力を使わずにパドリングをして、波に置いていかれる人がいます。

まずは波の進行方向にしっかりと漕ぐ事が大切です。

その上で、波によってはホバリングが始まる位から最後の数回だけ、進行方向にパドルする事もあります。

 

息を吐きパドルする事で、板に体重が乗りホバリングしやすくなる

これ、個人的には先日わかった大発見でした。

これをやるだけで、板が安定し、体からムダな力が抜け、かつ波に押されやすくなるという一石三鳥です。

 

【写真あり】僕の例

ホバリングされている状態では、こんな感じで、漕がなくても進みます。

波がホレてくるので、少し横向きに進んでいます。

 

立ち上がる【手・足・重心】

立ち上がる際のポイントを解説します。

 

手を「胸と腰の間」辺りに置いて体重をかける

超ホレホレの波は除きますが、プロのテイクオフを見ていると、ホバリングから立ち上がるタイミングで信じられない位加速していきます。

これは、板の適切な箇所に体重をしっかり乗っけて、スピードを得ているから。

手を前に置きすぎるとパーリングしますが、手に体重をかけないのはスピードを得る観点からはもったいない事です。

 

よく、テイクオフ時の手の置き場所とドルフィンスルーの手の置き場所がまったく同じ人がいますが、ドルフィンスルーの時の位置よりも気持ち腰の方に手を動かすと、ちょうど良い位置に来ることが多いです。

 

進行方向側の手は、少し後ろ(テール側)につく

レギュラー(右側に進む)の波の場合、右手を少し足側につきます。

そうする事で、すばやく進行方向に進みやすくなります。

 

両手→後ろ足→前足→手を放すの順番を意識する

手を付いたら、足は後ろ足からつきましょう。

プロを見ていても、ほぼすべて、同時、もしくは後ろ足からしっかりついています。

冒頭の動画をもういちど貼っておきます。

 

前足に重心をかけ過ぎない

立ち上がるという事は、波に押されているという事。

この段階で前足に体重をかけすぎてしまうと、板が水面に刺さり、パーリング(前に転ぶ)します。

 

【写真あり】僕の例

下手くそですが…

手に重心をかけている写真です。

胸と腰の間くらいに手をついています。

 

そこから、後ろ足→前足の順で足を置きます。

まだ手を放していない事に注目してください。

 

以上、段階別・動作別のテイクオフのコツ解説でした。

ここからは、波のタイプに焦点を当てて解説します。

 

【サーフィン初心者向けテイクオフのコツ】波別解説【ホレた・厚い】

ここでは、波のタイプ別に、テイクオフのコツを解説します。

 

厚い波でのテイクオフ

チューブができるような掘れた波の反対に、なかなか割れない「厚い波」。

こんな波の時には、どのようにすると乗りやすいのでしょうか?

 

普段よりも板の数センチ前に乗りパドルせよ

パドル時の板に乗る位置の基本は、板の重心の中心にへその位置を合わせる事。

厚い波の時は、板の重心より1-5cm位だけ前に乗るようにすると、それだけでぜんぜん変わります。

なお、だからと言って「板にアゴをつけろ」という事では無いのでご注意を。

 

早めにしっかりパドルでスピードをつけるべし

厚くてなかなか割れない波ほど、パドルをしっかりしないと乗れません。

早めに沖から漕ぎ出しましょう。

 

人がいないなら、インサイド寄りで待とう

人があまりいないなら、少しインサイド寄りで待つと、楽に乗れます。

ただし、インサイドに寄り過ぎると乗り逃すので注意です。

 

落ち着いて立とう

ホレた波よりも時間に余裕があります。

慌ててパーリングしたり転んだりしないように、落ち着いて立ちましょう。

 

パワーゾーンを意識せよ

厚い波の場合、テイクオフしてすぐ横に行き過ぎて、失速して終了…となる人がいます。

横に行くならすぐにカットバックでパワーゾーンに戻る、もしくはまずはしっかりとボトムに降りるか、波を見て判断しましょう。

 

ホレた波のテイクオフ

一般に、ホレた(掘れた)波のテイクオフは難しいとされています。

そんなホレた波のテイクオフについてです。

 

早めにパドルをはじめタイミングとポジションを合わせ、立つ直前は気持ちはリラックスしつつ強くパドル

ホレた波のテイクオフで特に多い失敗は2つ。

 

1.波に置いて行かれて乗れない

2.突っ込んでパーリング

 

こうならないためには、余裕を持って早めにパドリングをはじめてタイミングとポジションを合わせ、その上で立つ瞬間が近づくにしたがって、リラックスして周りを見る余裕を持つ事です。

2が起きる大きな原因の一つが「パドリングしすぎ」。

つまり「ポジショニングが悪い(岸側に行き過ぎてしまう)」事で起きます。

(もう一つは立った後に前荷重にし過ぎる事)

 

そうならないためにも、波が近づけば近づくほど、余裕を持てるように準備をしましょう。

 

テイクオフ時の横の意識とレール

リーフごりごりのパワフルでホレたブレイクの場合、波につかまらないように抜ける事ができるかどうかが、ライディングをつなぐ一つのカギとなります。

そのため、立つ直前の最後の数回(3-4回)は、行きたい方向を普段より強く意識して漕ぐようにしましょう。

そして、波に立った直後に波側のレールを入れる事。

それだけで、波を抜けられる確率が高まります。

 

チュービーかつ大波の場合は、場合によってはいったんピークから飛び降りるようなテイクオフの後、急激にターンしていく場合もあります。

 

【サーフィン初心者向けテイクオフのコツ】テイクオフは基本だが奥が深い

サーフィン初心者が最初につまづく事、そして上級者ほど大切にしている事、それがテイクオフです。

 

他のスポーツとは異なり、サーフィンは、テイクオフをしなければライディングの練習すらできません。

また、テイクオフを「ただ立つだけ」と考えたら大間違い。

 

波質や波のスピード(早いかトロいか)、狙うアクションなどにより、異なるテイクオフが必要。

実際はとても奥の深いアクションです。

 

少しの意識の差で、急に上達する事もあります。地道に試行錯誤を重ねていきましょう。

みなさん、良いサーフィンライフを!

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  • この記事を書いた人

セネガル山田(セネ山)

西アフリカのセネガルで宿「シェ山田」を運営しつつ、1日6時間・週5日のサーフィン生活満喫中|セネガルサーフツアー「セネサーフ」好評受付中|セネガル観光ラップで晋平太コラボ&TV出演も|著書『アフリカ旅行ガイドブック セネガル』|詳しいプロフィールはコチラ

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